浪曲とは
■ 浪曲とは
浪曲(ろうきょく)とは、明治時代初期から始まった演芸の一つ。
「浪花節」(なにわぶし)とも言い、三味線を伴奏に用いて物語を語ります。
浪花節の起源は800年前とも言われ、古くから伝わる浄瑠璃や説経節、祭文語りなどが基礎になって、大道芸として始まりました。その後明治時代初期、大阪の芸人・浪花伊助が新しく売り出した芸が大うけして、演者の名前から「浪花節」と名付けられました。以後、桃中軒雲右衛門や二代目広沢虎造の活躍で戦前まで全盛を迎えます。
庶民的な義理人情に訴える作品の他、武芸物、出世物、任侠物、悲恋物、ケレン物と呼ばれるお笑いなど多種多様で、親子の愛、師への尊敬、忠義、礼節など・・・次世代に伝えたい「誇るべき日本」の姿を肩の張らないスタイルで表現しています。
現在、浪曲の定席は東京都台東区浅草の「木馬亭」と、大阪府大阪市天王寺区の「一心寺門前浪曲寄席」があります。
■ 浪曲の構成
浪曲は一話完結から連続ドラマのように長い話もありますが、だいたい一題は30分位の話がほとんどです。
内容は一つの物語を節(ふし)と啖呵(たんか)で演じます。節は「歌」の部分で物語や登場人物の心情を歌詞にしており、啖呵は登場人物を演じてセリフを話します。浪曲は、節よりも啖呵が難しいと言われ、「フシで三年タンカで五年」と言われています。
■ 浪曲の舞台
演じる時の舞台のセットは、まず舞台の中央に金屏風。その前に腰ぐらいの高さの小さめのテーブルを置き、その上に「テーブルかけ」がかけてあります。テーブルの後ろに背もたれの長い椅子があり、そこにはそれぞれの流派の家紋を配した布が掛かっていて、演者は大体は立ちながら演じています。
この「テーブルかけ」は、一般的なテーブルクロスではなく、花や動物などそれぞれ演者の個性を表現した美しい布で、相撲の化粧回しのようにファンが浪曲師に送る物であり、送られるテーブルかけには金糸で寄贈者の名前や会社名が記してあります。
観客から見て右手の方には、「曲師」と呼ばれる三味線の演奏者が座っています。浪曲師によっては三味線のほかにもギターなどが入るケースもあります。現在、曲師は定席など正式な舞台では観客から見えないようになっていますが、「出弾き」と呼ぶ客前に出て弾くスタイルもあります。